【素材研究室②】疎水性多孔質PU素材編:finetrack(ファイントラック) エバーブレスの話
2019/7/18 20:47
しっかし雨の多い7月ですね!!!
早く梅雨明けしないかな~(*.*;)
そんな雨の季節には防水のウェアが気になりますよね!
というか、気にかけて頂きたい…。
新宿のころに掲載いたしました【素材研究室】シリーズ。
初回はGORE-TEXについて3回に分けてご紹介いたしました。
今回はGOREを代表するePTFE系とは違うPU系のお話でございます。
あんまり長くならないようにしたい…(←あくまでも希望)
でも、せっかくなので詳しくご紹介したい…。
そんな気持ちで書き始めます。
お時間があるときに読んで頂ければ幸いです。(←もはや長くなるって言ってるようなもの)
今回はこんな構成でございます。↓↓↓↓↓
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・疎水性多孔質PUと親水性無孔質PUの特徴
・疎水性多孔質PUの種類
・エバーブレスについて
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・疎水性多孔質PUと親水性無孔質PUの特徴
はい。まずはここからお話しましょう。
疎水性と親水性、多孔質なのか無孔質なのか?
前回の素材研究室でお話しました《疎水性》。
簡単に言うと、水と混ざらない・水が素材の表面で広がらずに球体となる状態。
で御座いまして、そんな素材に沢山の穴が開いているものが【疎水性多孔質】という区分になります。
多孔質というくらいなので身体から出た汗は水蒸気となり孔(あな)から出て行きます。
透湿の仕組みはePTFE系のGOREと似ています。単純な孔の大きさはePTFEのほうが小さいようです。
エバーブレスをはじめとするほとんどのPU系はこちらに属します。
後は裏地がPUコーティングの2.5レイヤーなのか、生地を貼って3レイヤーにするのかと言った違いが出ます。
PUコーティングなら透湿テストはほぼ間違いなくB-1法、生地を貼ったものならエバーブレスのようにA-1法を採用するところもあります。
あっ。PUってポリウレタンのことです。それも先に言っておくべきでしたね。
ePTFEとの大きな違いは【伸縮性がある】と【加水分解する】ということです。
GORE(ePTFE)の長持ちとPU系の着心地の良さ。
どちらを優先するか。
まずはそこを考えて選んで頂きたいですね。
もう一つのPU系【親水性無孔質】とはどういうものか?
字から推測すると、『水と馴染んで孔の開いていない素材』といった感じです。
これに属する防水透湿素材は少なく、代表的なものはパーテックスシールドで御座います。
パーテックスのイメージと聞かれると、
「なんか薄くて軽い素材」と答える方が多いのではないでしょうか?
そうなんです!そのイメージ通り!
でも何でこんなに薄くても丈夫なのか?
その答えが『無孔質素材である』ということなのです。
多孔質との違って孔が開いていない分、限界まで薄く加工することができます。
多孔質素材はやはりその薄さに限度があります。
軽さに注目するならこのパーテックスはかなりいい数字(重量)を出してくれますね。
そんな無孔質に対する疑問。
「孔無いのにどうやって透湿するの?」
キター=======(◎▽◎;)
これを説明するの難しいんですよ…。
というか、想像しにくい…。
ここで大事なのが【親水性】。
無孔質素材はメンブレン内の水酸基が水蒸気と結合して、
一旦、メンブレン内に保水します。(←親水している状態)
それが気化することで湿気を放出するという構造です。
一旦保水するので、生地は膨張し気化すればまた元に戻ります。
ん~分かります?
私は???という感じでした。
非常に簡単に言うと、シリカゲルみたいな感じということです。
シリカゲルは表面積を増やすための多孔質構造に加え、表面に水酸基がたくさん出ています。
湿気取りの代表とも言えるシリカゲル…親水性無孔質PUはそんな風に透湿していたのですね。
親水性をもった素材なので、透湿テストは基本B-1法が採用されます。
疎水性多孔質と親水性無孔質。
それぞれと特徴や透湿構造の違いはこんな感じで御座いまして…。
どうだろ?分かって頂けたかしら…。(←弱気)
これ以上やると先に進まないので、ひとまず先に進みます~!(笑)
・疎水性多孔質PUの種類
はい!疎水性多孔質PUにもいくつか種類がありまして…。
finetrackのエバーブレスを調べると、
【ポリカーボネート系ポリウレタン(PU)多孔質膜】という文言が出てきます。
ぽりかーぼねーと系?
そうなんです。
この○○系というのが多孔質膜の種類なのです。
大きく分けると3種類あります。
①ポリエーテル系
②ポリエステル系
③ポリカーボネート系
実はこの○○系は混ざっているものもあるので、
細かく分類するのはちょっと難しいんです。(^-^;)
この中で一番安く仕上げられるのは①のポリエーテル系。
安い理由は、耐光性・耐熱性が低く、加水分解に対する耐性も△。
次がポリエステル系。
耐光性・耐熱性はあるんですけど、加水分解に弱いという欠点があります…。
それでも、リサイクル性に優れる素材なので、パタゴニア等の環境意識の高いブランドが採用しております。
そしてポリカーボネート系。
これは耐光性・耐熱性・加水分解に対する耐性の全てが高水準に保たれております。
全体的に耐久性が高いと言える半面、生地が硬くなるので、少しごわつく印象。
素材自体のお値段はお高めです。
そうなんです。finetrackの素材、エバーブレスはこの耐久性の高いポリカーボネート系を採用しております。
実際、他のブランドの製品タグを見ても、この○○系を表示しているところはなかなかありません。
ポリカーボネート系を使っているところはPUの最大の弱点である「加水分解する」というポイントに着目し、値段が高くなる素材でも妥協しなかった感が伺えますね。
ePTFE系にしない場合は、このポリカーボネート系のPUを使っているところはオススメできます。
・エバーブレスについて
あっ、ようやく本題に入ります。
そんなポリカーボネート系PU多孔質膜を使った
【エバーブレス】
代表的なフォトンジャケットにみられるように、
特筆するべきところは、その【ストレッチ性】
まず、皮膜がPU系を採用しているのでePTFE系と違い伸縮性があります。
そして、表地をストレッチ素材・裏地をニット素材と、
どこまで伸ばすんだい?と聞きたくなるほど伸ばす気満々の作りです。
finetrackのHPにも記載されていますが、
「表面・裏面の生地を最適化する」ということ。
GOREのCニットバッカーでも触れましたが、裏地が織り生地か編み生地かが着心地や透湿性に影響します。
その拘りが、【ヨコストレッチ130%】という驚異的な数字に表れているので御座います。
防水透湿素材としてのスペックは
耐水圧:20,000mm
透湿性:10,000g/㎡/24h(A-1法)
耐水圧は防水に必要とされる基準の10,000mmの2倍を確保。
透湿性は以前の素材研究室でも触れましたA-1法を採用した数値。
実際に試していないのではっきりしたことは言えませんが、
親水性無孔質素材をA-1法で測定したらびっくりするくらい低い数値が出るかと思います。
感覚値ですが、多分5,000g/㎡/24hに届かないでしょう。
全く関係の無い話ですが、疎水性無孔質素材と言われると…?
感じとしてはビニール袋が近いですが、あれはポリエチレンなので、そもそもベースが違います。
調べても出てこなかったですね~。調べ方が足りないのかな?
最後に余計な話を…。
調べて出てこなかったんだったら書かなくてもいいんじゃないの?(←読者の声を代弁)
はい。そろそろ終わりにします。
今回はかなりぎゅっとまとまったかと思います。(←思っているだけ)
【素材研究室②】疎水性多孔質PU素材編:finetrack エバーブレスの話はいかがだったでしょうか?
エバーブレスが求めたストレッチ性・耐久性、そして実際のフィールドを想定した透湿テストの数値。
「遊び手が作り手」の精神が伝わってきますね!!!
いや~こうやって読んでいたらいつの間にか梅雨が明けてないかな~。
…明けてないな~また雨降ってるし。
皆さんも、山に行くときはしっかりした雨具を用意してくださいね~!
ちなみに…。
今回ご紹介したエバーブレスシリーズをはじめ、
finetrackの商品が、通販サイト:イイパワーズ内の秀山荘ページにてお買い求めいただけるようになりました!
やった!お店が東京から居なくなったけど、通販があれば何とかなる!(←その声を待ってました!)
こちらのリンクより楽天市場・yahoo!ショッピングサイトへとお進みください。
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【yahoo!ショッピング】イイパワーズ「ソト遊び専門店」秀山荘
*こちらの通販サイトでは秀山荘メンバーズカードのご利用が出来ません。予めご了承下さい。
通販もありますが、お店にも遊びに来て下さいね。
川越はいいところですよ。
焼き鳥と鰻が美味しい。
あっ土用の丑の日がもうすぐだ!(2019年は7月27日)
これは川越で鰻を食べて、ついでに秀山荘に寄らなくては!
いや、秀山荘に寄ってついでに鰻を食べる!
ん~川越に行ってから決めよう。
お待ちしてますよ(^-^)/
-MN-
過去の素材研究室はこちらから↓↓↓↓↓
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【素材研究室①-1】GORE-TEXの話 ~結局GOREって何なんだい?~
【素材研究室①-2】GORE-TEXの話 ~透湿性に関して~
【素材研究室①-3】GORE-TEXの話 ~そしてPRODUCTSへ~
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